地獄の門をみた。 その夜、アイツがそれに吸い込まれる様を夢にみた。 目が覚めた時、そんな夢を見てしまったという事実に、落胆した。 最悪の目覚めだ。 じっとなんかしていられなくって、いつもより随分と早く学校についてしまった。 窓の外では熱心に朝練をしているサッカー部の掛け声が響いていた。 空気と気持ちを入れ換えるためにその窓を開ければ、風が髪を撫でて吹き抜けた。 今日の風はやけに優しく感じて、少し苦笑い。 「こんなときに優しくされると、ちょっと辛いな。」 不意に、空気が歪むのを感じた。 この感覚には覚えがある。 私は左腕を前に構えて、力を込めた。 場所は、調度サッカー部がいる真上。 空間が歪んで虚が出てきた瞬間、ブレスレットの紐、連珠を伸ばして、虚の頭を貫いた。 「よしよし。大分今の状態に慣れてきたみたい。」 消えていく虚の姿を確認しながら、呟いた。 「ん?」 よく知る霊圧を感じて窓の下を見ると、すごい勢いで走ってきた死神姿の黒崎くんが見えた。 もしかして、さっきの虚を退治しに来たのかな? そしたら悪いことしたかも。 「お仕事盗っちゃった。」 グラウンドでは未だにキョロキョロと辺りを見回している黒崎くん。 そしてその隣には携帯を触っている朽木さん。 「黒崎くーん!朽木さーん!」 『!』 声に気がついた黒崎くんはそのまま大声で話しかけてきた。 ああ、まだ空中で足場固められないのか。 『ここに虚来なかったか?』 「ごめん、私が倒しちゃった!」 『はぁ!?』 黒崎くんはあんぐりと口を開けたままその場で立ち止まった。 ぽっかーん、としている彼を見るのははじめてで、ちょっと笑いそうになってしまう。 でも、今はそれよりも大事なことがある。 「そんなことより黒崎くん、身体は?」 『オウア!』 学校の時計を確認した黒崎くんは顔を青ざめさせてワタワタと家の方向に走っていった。 どうやら彼は霊体の時の方が表情が豊かになるみたい。 学校では到底見られないその姿を確認してクスクス笑っていると、後ろの扉がガラガラと音をたてて開いた。 そこには肩で息をしている一人の女子生徒。 「足速いんだね、朽木さん。」 「、一つ貴様に訊ねたいことがある。」 「うん、いいけど、お昼ご飯の時でもいいかな?今はもっと大切なことがあると思うから。」 私がそう言うと、朽木さんは不思議そうな顔をしてそれがなんのことか聞いてきた。 うん、でも大切なことだよね。 いくら朽木さんが現役の死神さんだからって、今はここで学生をやっているわけだし。 「朽木さん、鞄は?」 次の瞬間、朽木さんは物凄い勢いで教室を出ていった。 顔は、黒崎くんと同じように真っ青。 「仲良いなぁ。」 笑っていたら朽木さんが出ていった扉がまた開いた。 「お!おはよー!アンタ随分早いね。」 「おはよう、たつき。」 「ねえ、今朽木さんが猛ダッシュで走ってったけど、なんかあったの?」 「忘れ物しちゃったんだって。」 「ふーん。家近いのかな?」 「さあ?でも、まだ時間あるし、大丈夫なんじゃないかな? たつきは朝稽古?」 「そ。あ、そう言えばさっきアンタ大声出してなかった?」 「あー、うん。」 どうやら窓から黒崎くんたちに話していたのが聞こえてしまったらしい。 「なんていうか、ストレス発散?」 「ぷっ。ナニソレ。」 「たまにはいいでしょ?」 そうして話をしているうちに、一人また一人と登校してくる。 やがていつものクラスの風景になっていって、 朝から胸の辺りに巣食っていたモヤモヤは徐々に小さくなってきていた。 うん、やっぱりモヤモヤしたときはじっとしてちゃだめだね。 でないときっと今頃もずっとあのどろどろとした気持ちを抱えたままだった。 それにしても、学校内に霊体になれる友人がいるというのはなかなか困ったことかもしれない。 普通に話していたらさっきみたいに人に指摘されちゃうもの。 「失敗失敗。」 小さな独り言はそのまま誰にも拾われることはなく、またいつものように平和な教室風景の中に身を投じる。 ちなみに、黒崎くんはちゃんとチャイムが鳴り止む前に教室の中に飛び込んできた。 男子たちと軽口を叩きながら、胸元のシャツをパタパタと動かして空気を送っている姿から、かなりのダッシュをしたんだろうな。 そう思って笑っていたら、視線が合って少し顔をしかめられてしまった。 朽木さんが教室に入ってきたのは調度2時間目が始まるころ。 黒崎くんとは対照的にとっても涼しい顔をしていて、笑顔で体調不良で遅刻したと先生に伝えていた。 なんというか、さすがだなとついつい思ってしまった。 お昼休み。 朽木さんと私は中庭に来ていた。 時代劇みたいな口調で話してくる朽木さんはやっぱり自然な感じがして、ああ、これが彼女の素なんだな、と改めて認識した。 「パック、開けようか?」 「た、頼む。」 「ここに挿すんだよ。」 「ほう、なるほど。」 パックのストローの場所は知っていたけれど、どこに挿すかはいまいち解らなかったみたいで、 説明を加えながら開けてあげればとても興味深そうに眺めていた。 あれだね。素の彼女は案外天然なのかも。 「で、訊ねたいことって?」 「ああ。貴様のもつ対虚の能力についてだ。」 「やっぱり珍しい?」 「むしろ、聞いたことがない。」 しかめられた眉を見ていれば彼女が本当に不思議に思っていることが解る。 無理もないかもしれない。 だって、死神さんと同じことができる人間を目にするなんて普通はないもの。 「確かに、人間の中には時折強い霊力をもち、物や人にとりついた霊を引き剥がす力を持つものがいると聞いたことはある。」 「ああ、『除霊師』のこと?」 「ごく僅かだが、虚を撃退することができる人間もいると聞く。」 「そうなんだ。」 それは知らなかったなぁ。 「だが、貴様の様に道具を用いて虚を捕らえ、あまつさえその魂をソウル・ソサエティーへ送ることができる人間など、聞いたことがない! 一体なんなのだ、貴様のその力は・・・?」 「なにデカイ声だしてんだよ。」 声をかければ少し驚いた顔でルキアはこっちを見た。 対するはいつもの様ににっこり笑ってオレの名前を呼んだ。 「黒崎くん、売店帰り?」 「まあな。 んで?なにイライラしてんだ、お前?」 「なんでもない。貴様には関係ないだろう。」 ルキアはそういうと俺に背を向けてジュースを口にした。 なんとなくカチンときたんで自然と拳に力がこもる。 「コイツ・・・っ!」 「黒崎くん、朽木さんは私に質問があってきたんだよ。」 「ああ?」 「ほら、今朝私が虚を倒したって言ったでしょう?だからどうやったのか気になったみたいなの。」 「そう言えばんなこと言ってたな。」 朝、色々とバタバタしていたせいもあってすっかり忘れていた。 「っつーか、死神以外でも虚って退治できるもんなんだな。」 「そうみたいだね。」 なぜか他人事のように返事を返す。 まあ、らしいっつーか・・・ 「たわけ。」 イラついた声でルキアが言った。 「そうそうそんな人間がいるわけなかろう。」 「でも、現にはできてんじゃねーか。」 「だからこうして話を聞いているのだ!それを貴様が邪魔をするからっ!」 「あー、ヘイヘイ!そりゃ悪かったな!」 うるさくわめくルキアをあしらっていると、隣からクスクスと笑う声が聞こえた。 「なに笑ってんだよ。」 「仲良いなって思って。」 「はあ?」 どこ見ていってんだよ!? ケンカしてるだけだろうがっ! 思ったことが思いっきり顔にでたのか、はますます笑みを深くした。 よかった、いつものだ。 ふと、はなにかに気がついて空を見上げた。 「今日はお客さんが多いね。」 すくっと立ち上がり、は2、3歩校庭の方に足を向ける。 髪が少しだけ風に舞った。 「朽木さん、さっきの質問の答え、取り敢えずもう一度見てもらってからでもいいかしら?」 「なに?」 「その後に、答えられるところだけ答えるわ。」 少しだけこっちを振り返りながら、はそう言って静かに左腕を身体の前に構えた。 その瞬間、ルキアの持つ伝令神機がけたたましく音をたてた。 「いくよ?」 はそのまま空に向かって手を伸ばした。 その手の指す方向には調度空が歪み始めていた。 虚が現れるまで数秒もかからないだろう。 その歪み始めた空間を目掛けて、の手元から真っ直ぐに紐の様なものが伸びている。 それは物凄いスピードで進んで行き、分裂してまだ現れたばかりの虚を絡めとった後に、仮面を貫いた。 声をあげる間もなく、虚の姿は消えてゆき、一羽の揚羽蝶がその場に舞っていた。 「これが、私の武器。」 伸びていたそれを手元に引き戻しながら、は続けた。 よくみれば、それはの左腕に収まっているブレスレットに繋がっている。 「四報連珠というの。」 茶色の革に幾つか翡翠色の珠が装飾として施されたそれ。 さっき実際にそれを操っているところを見なけりゃただのブレスレットだ。 「黒崎くんと朽木さんには見えると思うけど、このぶら下がっている革紐、 本体と同じビーズが2つついているのと、1つついているのがあるでしょ? 2つある方を「連珠」、もうひとつの方を「連」と呼ぶの。 連は虚を捕える力、連珠は切り裂く力に優れているわ。」 「スゲーな。」 素直な感想が自然と口から出た。 「つまり、魂魄を叩き出されなくっても虚退治ができるってことだろ?」 「そういうこと。まあ、これはこれで不都合がある時もあるけどね。」 苦笑を浮かべながら、は左手をブレスが見えやすいように持ち上げてくれた。 ゆらゆら揺れている飾りの部分にまさかそんな力があるとは到底思えない。 「答えになったかな、朽木さん?」 「大体な。だが、まだ貴様がなぜそのような力を持っているのかという問いには回答を貰っていない。」 「んなもん知る必要があるのかよ?」 「たわけ、これは大事なことだ!」 ルキアの声がキンキン耳に響く。 んなに怒鳴る必要ねーだろーが! 「コヤツは本来死神にしかできぬことをやってのけているのだぞ!」 「死神にしかできないこと?」 「そうだ。 堕ちた魂となってから虚が重ねてきた罪を洗い流し、その魂をソウル・ソサエティーへ送ることだ!」 ああ、そーいえば、井上の兄貴と戦ったときにんなこと言ってたな。 なんとなくぼやけた記憶から思い出す。 「貴女の目から見て、私がそれをできているように見えるの?」 「虚の姿が消えた後、地獄蝶がその場に舞っているのがなによりの証拠だ。」 威圧的なルキアの声に対して、のはとても静かに響いた。 「そう、良かった。」 は聞こえるか聞こえないか位の小さな声で、呟いた。 けど、その表情ははっきりと見えてた。 「よかった」と呟いた瞬間、は本当にうれしそうに笑ったんだ。 「おい。」 僅かに苛立った朽木さんの声に我に返る。 「ごめんなさい。」 なんだか最近、彼女には謝ってばかりだ。 「私の力がどこからくるか、って話だったかしら?」 「そうだ。」 腕を組んで睨んでくる朽木さんは、口には出さないけれども「早く言え」と全身で訴えてくる。 うーん・・・困ったなぁ。 あんまり言うなって言われてるからなぁ。 「危機的状況によって芽生えた防御本能、で見逃してくれない?」 朽木さんの睨みが鋭くなった。 やっぱり納得してくれないみたい。 「おい、もういいだろ。困ってんじゃねぇか。」 「よいものか!これは重要なことだと言ったであろう!」 「まあ、死神さんからしたら、その存在意義を揺るがしかねない事実だからね・・・」 ぼそっと呟いたら、朽木さんがまたこちらを睨んできた。 あら、折角の黒崎くんの助け船を無駄にしちゃった。 「ごめんなさい。これ以上は言えないの。」 そう言ったけど、朽木さんはやはり納得してはくれない様子。 「死神さんがソウル・ソサエティーについて話せないのと同じくらい私にとっては言えないことだわ。」 別に根に持ってる訳じゃない。 でも、解りやすい例えが他に思い付かなかった。 朽木さんの表情が変わった。 言いたいことはちゃんと伝わったみたい。 これで少しは納得してもらえるだろうか? 「本来、この力についてはソウル・ソサエティーの関係者にはなるべく知られてはならないの。」 でないと、どこぞの店長さんに迷惑をかけてしまう。 「あなたが今の状況について上に報告できないようにね。」 朽木さんは眼を見開いた。 ううん、「固まった」の方が表現としては正しいかもしれない。 少し、おしゃべりが過ぎた。 これ以上聞かれては困るなと思っていたところで、タイミングよく予鈴がなる。 「もう、戻らないとね。」 「おい、!」 「朽木さん。」 まだなにか言おうとしていた彼女の名前を強く言うことで制す。 「ごめんなさい。色々言い過ぎたわ。 いつか話せる時期がきたらきちんと説明する。 それで今回は引いてくれない? その時、他に感じた疑問とかは全部芋づる式に説明することになると思うから。」 とにかく、今はまだなにも言えないんだ。 それだけ言い残して、私は急いで教室に戻った。 あれ以上、あの場にいることはできなかった。 ルキアはその後もずっとなんか難しい顔をしていた。 それは、午後の授業から帰り道までずっと続いていて、 はっきり言ってそれが気に入らなかった。 「おいルキア、いい加減にしろよ。」 「なにがだ?」 「テメーまだに色々言うつもりだろう。を困らせてるんじゃねぇよ。」 「た、たわけ!だからこれは大事なことだとっ!」 「ああ?」 まだゴチャゴチャ言おうとするルキアを睨みつける。 「はいつか話すってただろ!」 イライラした。 は、あの時いつもみたいに笑ってくれていた。 でも、もしかしたら本当は違う表情を心の中でしていたかもしれねぇ。 「今は話せないっつてたんだ。話せるまでまってやったって問題ねぇだろ!」 無理にあんな顔をさせちまったかもしれないっつー事実が、とにかくむしゃくしゃした。 「だから!」 「んだよ!?」 まだなんか言おうとしてきたルキアを思いっきり睨みつける。 睨まれたルキアも最初はまっすぐこっちを睨んできたが、すぐにバツが悪そうに視線をそらした。 「いや、すまぬ。確かに、誰にでも一つや二つ、他人に言えぬことはあるな。」 「解ってんだったらんなことすんじゃねぇよ、ボケ。」 「なんだとう!?」 そっからいつもの様なくだらねぇ口論になるまでは一瞬だった。 帰り道であんなに騒いじまって、はっきり言って周りには迷惑以外の何物でもないと思うが、んなこと言ったってもう後の祭りだ。 「だが・・・」 「あ?」 しばらく黙って歩いていたと思ったら、ルキアはまた話を切り出してきた。 コイツまだなんか言う気か!? 思わず構えたが、ルキアの声は意外と冷静で、どうやらオレの早合点だったらしい。 「どういうヤツなのだ?」 「・・・さあな。」 オレはまた前を向いて歩き出した。 「俺もよくは知らねぇ。」 少し考えた後に俺はそう切り出した。 「中学位の時にたつきと仲良くなったヤツなんだ。 後は、時々屋上にいるときに話す程度。 幽霊が見えるっつーのもついこの前知ったばっかだしな。」 「そうか。」 「ただ、よく笑ってるんだ。」 「そうだな。」 その後の家までの道のりは、とても静かだった。 「ちわーっす!お邪魔しまーす!」 昭和の香りが漂う店の玄関先で元気の良すぎる挨拶をすれば、中からジン太の怒鳴り声が聞こえた。 「うるせー、!」 「こーら!お客さんになんて口のきき方してるのよ!」 赤い頭を軽く小突いてやれば「お前のどこが客だ!」と喚かれた。 うん。それは否定できない。 「なに言ってるのよ!ジン太が来る前からの常連さんよ? 気心知れている仲でもちゃんとお客さんには愛想よくしなさい。」 なんて屁理屈はこねてみたけどね。 「おやおや、騒がしいと思ったら。」 「殿、いらしていましたか。」 「こんにちは、テッサイさん!喜助さん!」 「いらっしゃい。ジン太がなにかしたんデスか?」 パタパタと扇子を扇ぎながら聞いてくる喜助さんの顔は、素敵にキラキラとしていた。 ので、ここはご希望通りに悪ノリすることにする。 「ソーナンデスヨ、てんちょー! ジン太クンったら私に酷い態度とってるって注意したら怒鳴ってくるんですヨー!」 「冷やかしに来るヤツにくれてやる愛想なんかあるか!」 考えるより先に口が動いてしまうジン太は、すぐにテッサイさんに捕まって、愛ある躾を受ける。 テッサイさんの腕の中で騒いでいるジン太と、あつい包容をかましながら拳をグリグリと頭に押し付けるテッサイさんを見て笑いを漏らす。 「ちゃん、いらっしゃい。」 いつのまにか奥からやってきていた雨にテッサイさんや喜助さんにしたように挨拶をすれば嬉しそうに隣に来てくれた。 「テンメェ、覚えてろよー!」 「私、テッサイさんの包容はジン太に必要なものだから甘んじて受けたらいいと思う。」 「あ、コラ!ちくしょー!」 いまだに喚いているジン太を背にして雨の頭を撫でてあげると嬉しそうに笑ってくれた。 後ろの熱いやり取りと比べるとこっちは随分とほんわかだ。 なんて、どこか他人事のように思っていたら、喜助さんに名前を呼ばれた。 「ちゃん」なんて、まるで小さい頃のように呼んでくる時の喜助さんの眼は、 必ずと言っていいほどどこか鈍く光っているように感じる。 まるで、私の全てを見透かしているように思えてちょっと苦手だ。 「なあに?喜助さん。」 なるべく自然に、にっこりと笑う。 クスリと笑ってから口を開く喜助さんはやっぱりどこか余裕があって、ちょっと悔しい。 「なにか、ありました?」 「ううん、なにも。」 「そうッスか。」 「はい。」 わざわざ聞かなくってもきっと全部解っている。 なのに、あえて聞いてくる喜助さんはすごく意地悪で、それでいてほんのちょっとだけ優しいと思った。 「喜助さん、今日もよろしくお願いします。」 「んじゃ、中に入りまショウか。」 「はい。」 店の奥に向かうために踏み出した時、左手の四報連珠がしゃらりと音をたてた。 |
<コメンツ> 何故だろう・・・ルキアとの絡みが非常に多くなってきてしまっている・・・ それでも言い張ります! これは一護夢です! 一護夢なんです! |
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