夏と聞いて思い浮かべるもの・・・






冷たいカキ氷








みんなではしゃぐプール








どこまでも広がる海








風に揺られて鳴る風鈴








つらいけど楽しい合宿








どれもこれも素敵だけど、
私にとってやっぱり一番なのは












お祭り




























ドキドキと高鳴る胸を押さえ、私は今、縁日の入り口付近に立っている。
根っからのお祭り好きも手伝って今日この日を首を長くして待っていた。
大げさだけど、それこそキリンにでもなってしまうくらいに。

カタカタと音を立てる下駄。
近くで聞こえる子供のはしゃぐ声。
楽しそうに肩を並べて歩くカップル。
遠くの方で響いている屋台のおじさんの掛け声。

みんなみんなあまりにも楽しそうで、早くあの人ごみの中に飛び込みたくってうずうずする。

でも、何とかその衝動を抑えつつ、私はおとなしくそこで立っていた。
いくらなんでも待ち人をおいて一人で突っ込んでいくことできない。
それになにより、お祭りは誰かと一緒に行くのが良いんだから!
特に、それが大切な人なら尚更ね。

それでもはやる気持ちはどうしても抑えきれずに、また腕時計に目を移す。
もう何回目だろう?
長針が怠けているのか、何度見てもあまり進んでくれていない。
実は、気持ちがはやりすぎて思いっきり早めに着ちゃったんだよね。
でも、やっと相手がきてもおかしくはない時刻になってきた。


「早く来ないかなぁ〜・・・」


わくわくとしながらまた祭りの中の様子を眺める。




私はあまりにもそれに目を奪われていたためか、
あるいは訪れている人たちがあまりにも多かったためか、
自分のほうへ向かってくる人の気配に気づくことはなかった。
















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